旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記[全集 日本の歴史] (単行本)
松木 武彦 (著)
小学館が新しく始めた日本の歴史全集の一巻目。岡山大学の考古学者が文字が使われ始めるまでの日本の歴史ということで、五万年前(!)から五世紀までの日本をまとめた。
とにかく力作。全部咀嚼できるまで読みこむのは多分無理。旧石器時代から縄文、弥生、古墳時代と移り変わっていく日本の状況を、説明というよりは、描写している。考古学を中心としながら、進化論、心理学、気候変化などの影響をいちいち検証し、海外の例も朝鮮、中国はもとより、ヨーロッパや北米の例まで引いて、各時代を再構築。 さらに各時代を画一的に評価するのではなく、移行の状況、地域による特徴の違いまで再現。
弥生時代は、大陸から来た人たちが弥生人でその人たちが文化を作った、という程度の認識だったけど、そんな単純なことではないらしい。 当たり前か。
はじめに、の中で「四万年分の長大な記述にゆるぎをなくすため」に三つの指針を挙げている。これを読むだけで覚悟が伝わり、わくわくした。
その中の2番目、「地球環境の変動が歴史を動かした力を、もっと積極評価する」として、その表現が:
「生産力の発展」という大出力エンジンの車で歴史街道を驀進してきた「ハイウェイ・スター」ではなく、環境との対立と妥協を繰り返しながら「ロング・ワインディング・ロード…」をこつこつと歩んできた旅人としての、人間の軌跡をたどってみたい。急にハイウェイ・スターが出てきてびっくりしたけど、よぉく見てもDeep Purpleのアレのことだなあ。
面白い人だ。
なんとなく、日本に生まれてよかった、と思った。
旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記[全集 日本の歴史]
列島創世記
単行本: 370ページ
出版社: 小学館 (2007/11/9)
言語 日本語
ISBN-10: 4096221015
ISBN-13: 978-4096221013
発売日: 2007/11/9
商品の寸法: 21.2 x 15.6 x 3.4 cm
目次 日本の歴史 第一巻 列島創世記
009 はじめに 無文字社会のヒト・もの・心
三つの指針=四万年分の長大な記述にゆるぎをなくすための柱 第一の指針は、歴史科学の再生だ。歴史を、ただの物語でなく、過去の人びとの歩みから現代を見据え、未来を客観的に展望するための人文科学とする … 人工物や行動や社会の本質を心の科学によって見きわめ、その変化のメカニズムを分析する…認知考古学の成果を取り入れ、…新しいヒューマン・サイエンスの一翼を担うべき人類史と列島史の叙述をめざす。第二の指針は、地球環境の変動が歴史を動かした力を、もっと積極評価することだ。
…
「生産力の発展」という大出力エンジンの車で歴史街道を驀進してきた「ハイウェイ・スター」ではなく、環境との対立と妥協を繰り返しながら「ロング・ワインディング・ロード…」をこつこつと歩んできた旅人としての、人間の軌跡をたどってみたい。第三の指針は、…「日本」という枠組みを固定的に連続したものとしてとらえないことだ。
…
国家の歴史を超えた人類史の中の日本列島史を綴ってみたい。それを通じて、日本の歩みやその現在と未来とを、せせこましい愛国主義ではなく、国際的な場で恥ずかしくない客観的な知性を持って眺めるためのよりどころを提供できればうれしいことだ。
第一章 017 森と草原の狩人 旧石器時代
018 アフリカからの旅路
五万年前のビッグバン | 美を求める人びと | 実用を超えた「凝り」の出現
技を伝える人びと | 神を思う人びと |なぜ人工物は進化するのか
032 列島上陸
日本列島の最初の足跡 | ナウマンゾウを求めてやってきた人びと
旧石器時代の農耕の可能性 | 環に集う人びと
042 氷期を生き抜く
石器の地方色 | 地方色を生み出す技 | 石器の移り変わりの背景
石器が示す人びとの移動
052 縄文前夜
温暖化と神子柴型石器の登場 | 道具に現われた生活の違い | ネットワーク社会へ
058 コラム1 物の年代はどうしてわかるか?
第二章 061 海と森の一万年 縄文時代前半
062 風は南から
腰を落ち着けた生活 | 家財道具の出現 | 暮らしのなかの狩り
列島の早春賦
070 花開く物質文化
定住によるサトの出現 | コミュニケーションが物質文化をつくる
環状に並ぶ集落 | 人口の密度と集落の数
078 暮らしの技術
温暖化による海と森の恵み | 貯蔵がつくった縄文社会 | 発達した獲得の技術
食料確保の二つの戦略
085 縄文社会にしひがし
北の狩人と漁民 | クリの林とイルカの海 | 干し貝と網漁の浜辺
照葉樹林文化ではなかった縄文文化 | 西の縄文社会
093 縄文の文化を解剖する
定住がもたらす地域のまとまり | 東日本に登場した派手な土器
爆発はなぜ起こったか | 物を動かすネットワークの仕組み
なぜ縄文土器は凝っているのか | 土器の役割 | 土器の東西差が意味すること
縄文は日本文化の「基層」か
もっとも派手な土器をつくりだした関東・甲信越および東北南部という範囲は、前述の、環状集落が発達する範囲とぴったり重なる
110 縄文社会を復元する
環状集落を読む | 個人間の差異の表示 | 縄文社会は平等だったか
平等はつくられた観念
第三章 121 西へ東へ 縄文時代後半
122 並び立つモニュメント
大湯環状列石を訪ねて | 環状集落から環状列石へ | 北海道の周堤墓
関東の環状盛土 | 競い合うモニュメント
131 変わりゆく物の世界
粗製土器と精製土器 | 土偶の人間ばなれ | 非日常の世界の独立
137 時と生命の環
ふたたび大湯へ | 土偶の正体 | 縄文時代の心のありよう
おびやかされる平等原理
146 保守と変革
消えていく環状集落 | 個人の住居や墓をいろどる | 身体の人工的な加工
石刀をふるう人、土偶になる人 | 集団から個人への変化
社会はなぜ変化するのか | 環状集落が消えた理由
155 行く人、来る人
西日本の人口増加 | 東から西への流れ | 西日本縄文社会の文化構造
弥生への胎動 | 土器にみる文化の変化
164 さまざまな弥生への道
水稲農耕の伝来 | 労働編成と社会組織の変化 | 弥生の対人観と行動理念
縄文と弥生の心と社会 | 四大河文明と弥生時代 | 列島北部の縄文の終わり
大陸から列島北部への影響 | 南の島の新しい文化 | 先島諸島の文化の変化
弥生時代の人類史的意味 | 列島各地の弥生化 | 多様化の始まり
186 コラム2 邪馬台国の考古学
第四章 189 崇める人、戦う人 弥生時代前半
190 北の弥生社会
丁重に葬られた高貴な男の子 | 大物ねらいの英雄漁師 | ヘテラルキーの階層社会
197 文明の遺伝子
武器に飾られた人 | 戦いがつくる人の序列 | 北部九州の戦いの痕跡
大酋長登場 | タテの序列、ヨコの序列 | ムラどうしの序列形成のメカニズム
戦いのほんとうの役割
212 よみがえる縄文
新しいムラ、古いムラ | 縄文土器に近づく弥生土器 | 縄文への回帰現象
縄文と弥生に共通するもの | 保たれた縄文の伝統
221 弥生の波
もっとも遅かった外からの弥生化 | 東北に出現した水田 | みちのくの遠賀川
サンゴの海の弥生社会 | 貝の道、心の道
230 弥生の物質文化を解剖する
弥生の温暖化 | 温暖化による資源の増加 | 文化が伝わる仕組み
伝統が生んだ個性的発展 | やはり歴史は繰り返す | 農耕と戦いが政治をつくる
遠距離交渉が社会の仕組みも運ぶ
242 コラム3 未盗掘古墳の発見
第五章 245 海を越えた交流 弥生時代後半
246 ムラの消息
古墳出現への道 | 山上の人びと | 正しい空間認識 | 上下のある世界
地政学の芽生え | 鉄への需要の高まり | 現われるムラ、消えるムラ
鉄器普及前の地域社会 | 鉄が社会を組み換える | 土器の無文化ふたたび
冬の始まり
265 クニグニの夜明け
不思議な巨石 | 弥生最大の墓を掘る | 吉備の大酋長出現
同列的なムラから階層的なクニへ | 出雲の大酋長 | 因幡と越の大酋長
丹後と但馬の交易者たち | 鉄器普及の先進地域 | 古墳の思想は日本海から
鉄の価値と墳墓
岡山 楯築
http://homepage2.nifty.com/mike1203taiyo/kibiji/tatetuki/tatetuki.html
281 古墳への道
青銅器の分布の変化 | 墳墓のまつりと青銅器のまつり | 新・二大文化圏論
青銅器よさらば | 墳丘の地域差 | 前方後円形の視覚上の特性 | 運ばれる土器
東日本の土器の流れ | 土器の動きからわかるネットワーク
北部九州から近畿への中心の移動 | 日本列島の「民族大移動」
物質文化の多様化と斉一化
第六章 303 石と土の造形(古墳時代)
304 古墳の創出
箸墓登場 | 箸墓の内部 | 古墳の主の神格化 | 古墳とは何か
倭王と地方の王
312 墳墓の威信競争
高句麗と百済の墳丘墓 | 新羅と加耶の墳丘墓 | 東アジアからみた古墳の出現
巨大墳墓の世紀
318 人類史のなかの巨大古墳
人類社会とモニュメント | モニュメントの進化 | 巨大古墳出現の人類史的要因
日本列島の古墳はなぜ大きいか
324 古墳と社会
朝鮮半島文化の流入 | 古墳時代の館とムラ | 五世紀の経済と社会
331 前文字社会の終焉
巨大古墳の落日 | 変わる古墳の性格 | モニュメントから墓へ
東アジア史からみた古墳の終焉 | 物質文化の役割 | 文字出現前の文化伝達
モニュメントから文字へ、古墳から律令へ | 残った前文字社会
345 おわりに
355 参考文献
357 写真所蔵先一覧
361 年表
366 索引

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